PGL Masters Bucharest 2025のスイスステージ3日目は、再びドラマと波乱に満ちた展開となった。ポルトガル代表SAWは激戦の末にGamerLegionを2–1で下し、Heroicは圧倒的な力を見せつけてAuroraを2–0で撃破、いち早くプレーオフ進出を決めた。これらのシリーズは大会順位を大きく変えただけでなく、各チームのValve Regional Standings (VRS) にも大きな影響を与えた。
スイスステージ第3ラウンドへの道
SAWにとって、このシリーズはチームの自信を取り戻す重要な一戦となった。3DMAXに敗れ、不安定なスタートを切ったが、Ninjas in Pyjamasに勝利して反撃を開始。キャプテンaragornNとstoryのリーダーシップのもと、彼らは再びリズムと規律を取り戻した。
一方、GamerLegionはFlyQuestに2–0で勝利した直後、paiNに1–2で惜敗した。今回もまた、重要な場面での詰めを欠いた。個々の数字は悪くなかったものの、チームとしての安定性とクラッチ力に欠け、夏以降の課題が再び露呈した。
Heroicにとってこの日は復活を確信する1日となった。niloとxfLoudが率いる新生スウェーデン体制が躍動し、Auroraを2–0で圧倒。大会最初のプレーオフ進出チームとなった。一方のトルコ代表Auroraは、今大会初の大きな黒星を喫した。
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SAW vs GamerLegion
結果： 2–1（6–13 Nuke、19–17 Inferno、16–14 Ancient）
- Nuke — GamerLegionが先制
シリーズはSAWのピックマップから始まったが、GamerLegionが主導権を握る。TausonとPRが守備で支配的なプレーを見せ、完璧な連携から13–6で勝利。SAWはGLの高速テンポに対応できず、重要なクラッチラウンドを落とした。
- Inferno — SAWの逆転と冷静さ
Infernoは最初から最後まで緊迫した展開に。両チームが粘り強く正確なプレーを見せ、マップは延長戦へ突入。ここで光ったのはSAWの粘り強さだった。MUTiRiSとAg1Lが複数キルを決め、aragornNが落ち着いた判断でチームを導き、19–17で勝利した。
- Ancient — キャプテンの決定的瞬間
最終マップでは両チームのメンタルが試された。GamerLegionが序盤にリードを奪ったものの、aragornNがけん引するSAWが逆転に成功。鋭いエイムと完璧な読みで流れを変え、16–14で勝利を確定させた。これはSAWにとって、約6か月ぶりとなるLANでのGamerLegion戦勝利となった。
試合のMVP — António “aragornN” Barbosa
- K–D：69–62
- ADR：94.5
- KAST：77.6%
- Rating 3.0：1.44
SAWのキャプテンはチームの中心的存在だった。+4.73%のインパクトとクラッチラウンドでの活躍により、文句なしのMVPに輝き、HLTVコミュニティ投票で88%の支持を得た。
Heroic vs Aurora
結果： 2–0（13–4 Mirage、13–11 Inferno）
- Mirage — Heroicが圧倒的優位を示す
開幕マップは序盤から一方的な展開に。xfLoudとniloが素早いエグゼキュートと自信に満ちたミッドコントロールでAuroraの防御を粉砕。トルコ勢は完全に対応を失い、Heroicが13–4で難なく勝利。
- Inferno — 冷静な制御力
Auroraは自分たちのピックで巻き返しを図ったが、Heroicの構造的な戦術の前に崩壊。AlkarenとLNZが重要なデュエルを制し、yxnqstxrのユーティリティワークがXANTARESとWicadiaを封じ込めた。Auroraの終盤の反撃も及ばず、Heroicが13–11でマップを締めた。
試合のMVP — Yasin “xfLoud” Koç
- K–D：32–26
- ADR：93.7
- KAST：80.5%
- Rating 3.0：1.30
xfLoudはHeroicの成功の原動力だった。攻撃的ながらバランスの取れたプレースタイル、賢いポジショニング、ほぼ完璧なトレード精度でチームのテンポを維持し、常に冷静さを保った。
Valve Regional Standings (VRS)への影響
SAWとHeroicの勝利は、世界ランキングに大きな影響を与えた。
- SAWは**+43ポイント**を獲得し、27位から23位に浮上（1364 → 1407 pt）。ヨーロッパ勢の中でも最大級の上昇で、RMR出場争いに再び名乗りを上げた。
- GamerLegionは**–17ポイントを失い、18位から19位に後退（1471 → 1454 pt）。TausonとPR**の好調な個人パフォーマンスにもかかわらず、接戦を締め切れない弱点が再び露呈。
- Heroicは**+57ポイント**の大幅上昇で15位から14位へ（1535 → 1592 pt）。これによりプレーオフ出場を確定させ、世界トップ10への距離を縮めた。
- Auroraは**–22ポイント**を喪失し、8位から9位に降下（1791 → 1769 pt）。依然として上位陣ではあるものの、この敗北は組織立ったヨーロッパ勢への脆弱さを露呈した。
一日の象徴
ブカレスト3日目は、あるチームにとって再生の象徴であり、他のチームにとっては痛烈な警鐘となった。SAWは規律・信念・チームワークがどんなチームでも再び輝かせることを証明し、Heroicはヨーロッパで最も安定し、戦術的に成熟したチームの1つとしての地位をさらに確固たるものにした。 一方でGamerLegionとAuroraにとって、この日は教訓の1日となった。前者は始めた試合を締め切る力を学ぶ必要があり、後者は敗北から立ち直るメンタルの強さを示さなければならない。
PGL Masters Bucharest 2025は依然として激しさと予測不能さを提供し続けている。SAWとHeroicの勝利は、粘り強さ・冷静さ・プロフェッショナリズムの物語であり、GamerLegionとAuroraは「現代のCS2においては、どんな強豪も安泰ではない」という事実を痛感する結果となった。大会が決戦フェーズに向かう中、プレーオフ進出争いはこれまで以上に激化することだろう。
