Ádám “torzsi” Torzsásは、HLTV「2025年トップ20プレイヤー」ランキングで17位となり、2025年シーズンを終えた。ハンガリー人AWPerにとって、これは2年連続でのトップ20入りであり、2024年と比べて明確な成長を示す結果となった。この順位は、4つのEVP受賞、MOUZが5度グランドファイナルに進出する中での中心的な役割、そして世界ランキング最上位クラスの相手に対する安定したパフォーマンスによって裏付けられている。
MOUZのシーズン
MOUZのシーズンは不安定な形で始まった。チームはIGLを変更し、Spinxを加入させ、新たなゲームモデルを模索する必要があった。そのような状況下でも、torzsiはチームの最大の安定要因であり続けた。プレーオフではシリーズを牽引し、LANイベントでも高いレベルを維持し、Vitality、Falcons、Spiritといった強豪との試合ではMOUZの重要な武器の一人だった。年末に調子を落とす時期がありながらもトップ20に残った事実は、彼のチームへの貢献度の大きさを物語っている。
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torzsiが17位となった理由
HLTVのランキングは、torzsiのピークパフォーマンスと、それを発揮した大会のレベルを特に高く評価した。2025年、彼は4度のEVPを獲得したが、これはトップ選手の中でも稀な数字であり、いずれもMOUZがグランドファイナルに進出した大会でのものだった。シーズンの重要な局面では常にレーティング1.10以上を維持し、トップ10チーム相手にも安定した活躍を見せ、チームが終盤ステージへ進む上で決定的な存在となる場面が多かった。
また、文脈も重要である。彼の多くのマップは、MOUZが常にシーズンの優勝候補と対戦するトップティア大会で記録されたものだった。そのためスタッツを維持する難易度は高かったが、その分、一つ一つの好パフォーマンスの価値はより大きくなった。一方で、Majorでの不振や年末のフォーム低下が、トップ20中位以上への浮上を阻んだ。
torzsiのシーズン主要大会
- PGL Cluj-Napoca 2025
MOUZとtorzsiにとって、シーズン最初の大きなピークとなった大会。MOUZは厳しいプレーオフを勝ち抜き、決勝でFalconsを破って、年間唯一のタイトルを獲得した。torzsiは常に最大のスターではなかったものの、20マップ以上にわたって安定したプラスのK/Dを記録し、レーティングを約1.10に保ち、自身の担当エリアを確実に締めたことで、シーズン最初のEVPを手にした。 - ESL Pro League Season 21
プロリーグでは、ルーマニアでの成功が偶然ではなかったことをMOUZが証明した。チームは再び決勝へ進出し、torzsiはG2やSpiritとの強いシリーズ、低調なマップの少なさ、そして敗退が決まる試合での高い影響力など、シーズン屈指の安定したパフォーマンスを披露した。決勝でVitalityに敗れて銀メダルとなったものの、彼は大会全体でのレベルが評価され、2大会連続となるEVPを受賞した。 - IEM Dallas 2025
アメリカでは、torzsiがキャリア最高峰のフォームを見せた。MOUZはグループステージを3連勝で突破し、彼は高いADR、安定したマルチキルラウンド、アリーナでの印象的なプレーでスタッツを支配した。プレーオフでも同様のレベルを維持し、レーティング面では大会屈指の選手となり、決勝で再びVitalityに敗れたにもかかわらず、EVPを獲得した。 - IEM Cologne 2025
ケルンはシーズンで最も象徴的な大会となった。MOUZは準決勝でVitalityを下し、年間最大の支配者に対する連敗をついに止めた。この試合で中心となったのがtorzsiで、高いレーティング、重要なクラッチ、満員のLANXESS Arenaという重圧下での自信に満ちたプレーを披露した。決勝でSpiritに敗れたことで苦い結果となったが、個人としてはシーズン屈指の大会であり、スーパーエリートEVPを受賞している。
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シーズンを通したMOUZでのtorzsiの役割
2025年を通じて、torzsiはMOUZのゲームシステムの中核であり続けた。主力AWPerとして、序盤ラウンドでの重要な役割を担い、攻撃的なプッシュで主導権を握る一方、ポジショナルなプレーでマップの要所を管理した。ロスター変更とSpinx加入後、役割や攻撃構造を再構築する必要があった中で、チームに安定感をもたらしたのは彼だった。
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トップ大会のプレーオフでは、コーチ陣が彼のオープニングデュエルや、アグレッシブとパッシブを切り替える能力を軸に戦術を組み立てることが多かった。スコアボードで支配的でない試合でも、規律あるプレー、無駄なリスクを避ける判断、そしてシリーズの重要局面でテンポを上げる力によって、彼の価値は失われなかった。
シーズンスタッツとコンディション
2025年を通した総合レーティングは約1.05〜1.07で推移しており、非常に過酷なスケジュールを考慮すれば、数字以上に説得力のある内容だった。多くのマップがトップ10チーム相手、かつエリート大会のプレーオフで行われており、そこでEVPを獲得し、決定的な試合を任せられるスナイパーとしての地位を確立した。
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一方で、弱点も明確に表れている。年間2度のMajorではレーティングが1.00前後、あるいはそれ以下に落ち込み、決勝や終盤ステージでは結果への影響がほとんど見られないマップもあった。BLAST Open London、ESL Pro League S22、IEM Chengdu、StarLadder Major Budapestと続いたシーズン終盤は、明確なフォーム低下の中で戦われ、本人も「ゲームの楽しさを失ったこと」や過度な自己批判が原因だったと語っている。

キャリアの文脈
torzsiはもはや単なるアカデミー出身の才能ではない。ハンガリーのローカルチームからキャリアを始め、SalamanderやBudapest Fiveで頭角を現し、MOUZ NXTで将来の主力たちと共にユースシーンを支配したことで真のブレイクを果たした。MOUZメインロスターへの昇格、2023年のEPL Season 18優勝とMVP獲得、そして直近2シーズンの安定したプレーオフ進出が、トップレベルAWPerとしての評価を形作っている。
2024年と2025年のHLTVトップ20連続選出は、その評価をさらに強固なものにした。23歳の彼にとって、これはもはやサプライズではなく、当然の期待値となっている。次のステップは明白で、頻繁な決勝進出を完全な優勝へと変え、世界最高のAWPerたちとランキング上位を争うことである。
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シーンにとっての意味
torzsiの成功は、ヨーロッパ、特にハンガリーシーンにとって重要なシグナルだ。ローカルチームからアカデミー、そしてトップ組織へと段階的に進む体系的な道筋が、競争の激しいCS2環境でも依然として有効であることを示している。MOUZは、若く適切に構成されたロスターが大規模大会の決勝に何度も到達できること、そしてそのスナイパーがZywOoやdonkといった選手と互角に渡り合えることを証明した。
組織としても、2年連続トップ20入りは、自前のアカデミーと若いコアに賭けた判断が正しかったことの証明である。ハンガリーシーンにとって、このシーズンは歴史的な基準点となり、初めて同国の選手が世界ランキングに確固たる地位を築き、地域を代表する存在となった。
2025年シーズンの総括
torzsiは2025年をHLTVランキング17位で終え、4つのEVPと数多くのグランドファイナル進出、そして過酷な大会日程を両立させた。PGL Cluj-Napoca、ESL Pro League S21、IEM Dallas、IEM Cologneでの明確なピーク、トップチーム相手の安定感、そしてMOUZを牽引する存在としての役割が、年間ベストプレイヤーの一人としての地位を確かなものにした。
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同時に、Majorでの不振と終盤の失速は、今後の成長領域をはっきりと示している。もし彼がプレーの軽快さを取り戻し、最重要な試合での安定感を高めることができれば、将来のランキングでさらに上位を争う可能性は十分にある。
