多くのeスポーツ組織がスポンサー契約の獲得に苦戦する中、NIPグループはまったく異なる産業に賭けている。Ninjas in Pyjamasブランドを所有するこの企業は、従来のeスポーツホールディングから、世界的なデジタルコンピューティング市場のプレーヤーへと変貌を遂げつつある。
スウェーデンのクランからエネルギー企業へ
NIPは世界で最も古く、最も有名なeスポーツブランドの一つである。しかし2025年現在、この企業はもはや単なるチームではなく、アブダビに本社を置き、計算インフラへの積極的な投資を行うテクノロジー企業の姿をしている。最近の事業拡大はその転換の規模を裏付けており、同社の月間ビットコイン採掘量は160BTCに達し、現在の為替レートでおよそ2,000万ドルに相当する。この結果、NIPグループは世界で最も強力な商業マイナーの一角に躍り出た。
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eスポーツがWeb3に統合される方法
NIP Miningの計算能力は11.3エクサハッシュ/秒を超えており、これは主要テクノロジー企業のデータセンターに匹敵する数値である。同社の経営陣によると、これは「AIツール、エンターテインメント、次世代ゲームのための汎用計算基盤」を構築する第一段階に過ぎないという。NIPは、暗号通貨のためだけでなく、コンテンツ生成やプレイヤー行動モデリングなど、将来的なAI応用のためのインフラ開発を進めていることを強調している。
eスポーツと暗号資産が融合する経済
NIPグループの動きは、ゲーム、AI、Web3が交差する新たな潮流を象徴している。2024年の暗号資産市場の低迷を経て、多くの大手企業がメディア、eスポーツ、NFT、ブロックチェーンを組み合わせたハイブリッド収益モデルへと移行した。しかしNIPはそれを体系的に行っている。外部から計算能力を借りるのではなく、自社インフラへの投資を選択し、暗号通貨マイニングをゲーム部門拡大の資金的レバレッジとして活用。さらに、デジタルイニシアチブを国家レベルで支援するアブダビ投資局(Abu Dhabi Investment Office)と提携している。これにより、NIPグループはもはや賞金やスポンサーに依存せず、主な収益源をeスポーツ外に確立している。
NIP Group, the company behind esports team Ninjas in Pyjamas, say they're mining almost $20 million in Bitcoin a month pic.twitter.com/8rauOqPNjM
— Dexerto (@Dexerto) November 3, 2025
eスポーツ市場の変革
現在、eスポーツ業界は過去5年間で最も困難な時期を迎えている。チームは予算を削減し、スポンサーはプロジェクトから撤退し、トーナメント主催者は新たな収益化モデルを模索せざるを得ない。このような状況の中、NIPは「可視性」ではなく「技術インフラ」が最も重要な資産となるデジタル経済への適応の実例を示している。
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現在のNIPグループ
5年前、Ninjas in Pyjamasは単なるeスポーツチームだった。だが今では、NIPグループは暗号通貨、AI、そしてゲームの分野で同時に事業を展開するテクノロジーホールディング企業となった。毎月2,000万ドル相当のビットコインを採掘しているという事実は、単なる数字ではなく、業界全体におけるパラダイムシフトの象徴である。かつて広告やスポンサーシップに依存していたeスポーツ業界は、今や「エネルギー」「データ」「計算能力」が新たな成功の通貨となる時代へと突入している。

